東京高等裁判所 昭和40年(ネ)880号 判決
一、当裁判所は、被控訴人らの本訴請求は、これを認容すべきものと認めるが、その理由は、次のとおり附加するほか、原判決理由と同一であるから、それをここに引用する。
本件特許発明において、その第一工程中の餠生地の冷蔵温度が発明の要件を構成する事項であることは、原審認定のとおりであるから、控訴人ら主張のように明細書記載の温度符号であるF(華氏)をC(摂氏)として、特許請求の範囲を理解することは、実質上本件特許請求の範囲を変更することとなるばかりでなく、特許発明の技術的範囲の認定はもとより、特許付与の基本をなす新規の技術の開示が、すべて明細書の記載を通じてのみなされることにかんがみても、控訴人らの右主張は採用し難い。
二、よつて、被控訴人らの本訴請求を認容した原判決は相当である。
〔編註〕 本件における控訴人の陳述の要旨は左のとおりである。
本件特許発明は、その第一工程における冷蔵温度を、明細書記載のとおりの温度符号F(華氏)としたのでは、これを実施することができず、右符号をC(摂氏)と解することによつて、はじめて実施可能となるものであるから、本件明細書における特許請求の範囲中の第一工程の冷蔵温度は、その符号をCとして理解すべきものであり、したがつて控訴人らの本件特許権の範囲は、被控訴人らの主張する各製法に及ぶものである。